まず初めに、新型コロナウイルス感染症による多くの犠牲者の方々へ、
心よりお悔やみ申し上げます。
目に見えない、そして、強い感染力を持つこのウイルスから
患者様と我々スタッフを守るため、当院での感染防止対策を検討しました。
まず、敵と戦うには、敵を知る必要がありますよね。
そこで、敵のデータを収集してみました!
正式名称:COVID-19(coronavirus disease 2019)
「コーヴィッド ナインティーン」と呼びます。
WHOが2月11日に発表しました。
感染の仕方:現在のところ、以下の2つの方法が考えられています。
①飛沫感染:感染者の咳やくしゃみでウイルスが混じった唾液等の飛沫が
直接目・鼻・口の粘膜から感染。
WHOのデータによると、くしゃみ1回あたり約4万個、
咳では1回あたり約3千個、5分間の会話で約3千個の飛沫と飛沫核が
生じるといいます。
咳の飛沫は2~5m飛びます。
マスクをしていても、実は目から感染している可能性が高いかもしれません!
②接触感染:感染者の飛沫に手で接触した状態で、自分の目・鼻・口など
の粘膜に触れて感染。
※空気感染は現在のところ確認されていません。
しかし、エアロゾルが豊富な場所に限っては、空気感染に近い経路で
感染する可能性は否定できないと思います。
エアロゾルとは、気体中に浮遊する微小な液体または固体の粒子と
周囲の気体の混合体の総称です。エアロゾル感染とは、空中を浮遊する
ウイルスが混じった水蒸気を吸い込んで感染するイメージです。
ウイルスの大きさ:0.1μm(マイクロメートル)
これは、1mmの1万分の1の大きさです。
インフルエンザウイルスも同じくらいの大きさです。
我々が普段使用しているマスク(不織布)が捕集できる粒子の大きさは
3μm以上、布マスクに至ってはもっと大きな粒子しか捕集できません。
マスクの捕集能力と捕集物質の大きさは下のようなイメージです。
ウイルスの生命力:エアロゾル中で最長3時間
段ボールの表面で最長24時間
プラスチックやステンレスの表面で最長2〜3日
70%アルコールや0.1%次亜塩素酸ナトリウム消毒で感染力を失います。
高温多湿であるほど死滅するスピードが早かったという報告があります。
感染後の経過:
潜伏期間は1~14日(一般的には5日程度)と言われています。
横浜市での症状の割合(4月20日現在):
無症状3.2%、軽症74.2%、中等症15.5%、重症6.4%、死亡0.7%
7割5分が軽症です。
30代以下に重症や死亡例はありません。
以上のデータを踏まえて、当院では以下のような対策を取ることにしました。
対策その1.問診と検温
コロナウイルスを院内に持ち込まないことが何より大切です!
そこで、
診療前の問診票と体温チェックにて、感染が疑われる方を簡易的に判別
もちろんスタッフも毎朝検温
Amazonで注文から1カ月半でようやく届いた、非接触型体温計です。
今まで腋下型の体温計で数分かかっていた測定時間が、これだと1秒!!
測定値も正確です
怪しい方は、患者様でもスタッフでも院内には居られません。
帰宅要請いたします
幸いなことに、これまで帰宅要請を行った人は一人もおりません
対策その2.ウイルスが通過できないものでの遮蔽
収集したデータより、ウイルスはマスクを通過する可能性が十分にあります。
感染者との2m以内の対面会話で感染をほぼ100%防ぐためには、
物理的にウイルスが通過できないもので遮るのが一番確実と考えました。
①受付にアクリルボード設置
②施術者はフェイスシールド装着(ネットを参考にした自作です)
パウチで使用するラミネートフィルムを採用しました
感染防止の3要素として、厚生労働省は3つの『密』を避けるよう要請しています。
密閉(換気の悪い閉鎖空間)
密集(多くの人が狭い空間に集まること)
密接(手の届く距離で会話をすること)
これらの密を何としても断ち切る・・・
密を断つ・・・
そう、
断密(ダンミツ)が必要なのです
というわけで、
当院では、下記のごとく、断密を行っています。
対策その3.十分な換気
密閉空間を回避します。実はこれが一番大事だと思っています。
当院は窓が多く風通しが良いので、玄関~室内扉~窓を開けて、空気が室内に停滞
しないよう常に換気しています。寒い日には暖房やストーブを付けた状態で換気
しています。
対策その4.密集・密接を避ける予約の取り方
待合室や診療室内で複数の患者様同士が2m以内とならないように
工夫しています。
1人の予約時間を長く取り、1日の患者数を少なくしています。
大所帯の歯科医院と違って当院は歯科医師1名、歯科衛生士1名ですので、
基本的に同じ時間に同じ場所にいる患者数は2人以下です。
スタッフー患者さん間での2m以内の会話は、アクリルボードや
フェイスシールド越しになるようにし、飛沫感染を起こさせません!
対策その5.治療中の飛沫・エアロゾル対策
飛沫やエアロゾルの大部分を吸引します!
飛沫やエアロゾルの発生が予測される処置では、
通常の口腔内バキューム(下の写真で衛生士が持っているもの)に加えて、
口腔外バキューム(患者様の口元まで伸びた白くて長いアーム状のもの)を
使用します。これにより飛沫や空気中に浮遊するエアロゾルの量を大幅に
減少することができます。
対策その6.徹底的な消毒
接触感染を防ぐ方法です。院内の消毒を徹底してはおりますが、何かに触れた手で
自分の粘膜(目・口・鼻)を触らないで下さい!
患者様には来院時の手洗い・アルコール消毒をお願いしています。
当院では人が接触するドアノブ・ソファー・診療チェアー等をアルコール・
次亜塩素酸ナトリウム・次亜塩素酸水で徹底的に清拭し、
また、患者様ごとのグローブ交換、手洗いを徹底しています。
~独り言~
高温多湿となる夏には一旦感染者数は収まってくるのではないかという意見も
ありますが、フィリピン等の熱帯性気候地域でも感染者数が増加している
背景から、この情報の信憑性は低く、WHOは間違った期待であると発表して
います。
世界中がこのウイルスの脅威から解放されるには、やはりワクチンの普及を待つしか
なさそうです。
それまで、当院の感染防止に対する取り組みは続くでしょう。
歯科界では、長期口腔管理による重症化予防に力を入れ始めたところでした。
それは、国の医療費全体を削減することにつながり、患者様も健康寿命を増進できる。
歯科医療は、まさに国と国民がWin-Winの関係を築く大きな役割を担っています。
しかし、今は昭和時代に遡ったかのように緊急性のある治療以外はなるべく行わない
風潮に・・・それではこの大きな目標を達成することは到底できないのです。
メンテナンスを怠れば、間違いなく急性症状を引き起こす頻度を増すことになります。
急性症状を繰り返せば、歯周状態は不可逆的なダメージを被ることになり兼ねません。
率直に言えば、それは歯の喪失につながり、ひいては全身疾患の増悪につながるのです。
この大切なメンテナンス治療を当院の患者様が安心して受けられるよう、より効率的な
感染予防対策が実現できるよう、試行錯誤しながらしばらく悶々とした日々が続きそう
です。
最後に、就寝中は唾液の量が減少し、口腔内の免疫力が低下することから、
就寝前の歯磨きはコロナに関わらず感染予防対策として非常に効果的です。
是非、毎日実践して、みんなでコロナに打ち勝ちましょう!
STOP CORONA !!